FIFAワールドカップ2026(以下、W杯)も日程の半分以上が進み、様々な海外の反応が示されています。
その中で1つ気になったのは、アジア(アジアサッカー連盟=AFC)の代表チームが9チーム中、日本とオーストラリアの2チームしかグループステージを突破できなかったことに対する意見です。
今回のW杯は、48チーム中32チームがグループステージを突破できるシステムでしたが、落選16チーム中7チームをアジアが占めるという結果でした。
しかもオーストラリアは本来アジアの国ではないため(AFCに所属)、実質的にアジアからグループステージを突破したのは日本だけだったのです。
こういった状況から、アジアからの出場枠を減らすべきだという意見を示す人も多数いたようです。
一方、アフリカの代表チームは10チーム中9チームがグループステージを突破し、サッカーが強いとされるヨーロッパ・南米と他地域、あるいは伝統的なサッカー強豪国と他国との実力差が縮まったという意見も見受けられました。
この問題を明確化するため、かつてのW杯で安定して好成績を残していたヨーロッパと南米の強豪国における直近W杯10大会分の成績を示したいと思います。(※マークは現在進行中の結果)
イタリア
1990年:3位
1994年:準優勝
1998年:ベスト8
2002年:ベスト16
2006年:優勝
2010年:グループリーグ敗退
2014年:グループリーグ敗退
2018年:予選敗退
2022年:予選敗退
2026年:予選敗退
イングランド
1990年:4位
1994年:予選敗退
1998年:ベスト16
2002年:ベスト8
2006年:ベスト8
2010年:ベスト16
2014年:グループリーグ敗退
2018年:4位
2022年:ベスト8
2026年:ベスト16以上※
オランダ
1990年:ベスト16
1994年:ベスト8
1998年:4位
2002年:予選敗退
2006年:ベスト16
2010年:準優勝
2014年:3位
2018年:予選敗退
2022年:ベスト8
2026年:ベスト32
スペイン
1990年:ベスト16
1994年:ベスト8
1998年:グループリーグ敗退
2002年:ベスト8
2006年:ベスト16
2010年:優勝
2014年:グループリーグ敗退
2018年:ベスト16
2022年:ベスト16
2026年:ベスト32以上※
ドイツ
1990年:優勝
1994年:ベスト8
1998年:ベスト8
2002年:準優勝
2006年:3位
2010年:3位
2014年:優勝
2018年:グループリーグ敗退
2022年:グループリーグ敗退
2026年:ベスト32
フランス
1990年:予選敗退
1994年:予選敗退
1998年:優勝
2002年:グループリーグ敗退
2006年:準優勝
2010年:グループリーグ敗退
2014年:ベスト8
2018年:優勝
2022年:準優勝
2026年:ベスト32以上※
アルゼンチン
1990年:準優勝
1994年:ベスト16
1998年:ベスト8
2002年:グループリーグ敗退
2006年:ベスト8
2010年:ベスト8
2014年:準優勝
2018年:ベスト16
2022年:優勝
2026年:ベスト32以上※
ブラジル
1990年:ベスト16
1994年:優勝
1998年:準優勝
2002年:優勝
2006年:ベスト8
2010年:ベスト8
2014年:4位
2018年:ベスト8
2022年:ベスト8
2026年:ベスト16以上※
以上のデータを確認すると、2006年に優勝したイタリア代表は2010年・2014年でグループステージ敗退、2018年からは3大会連続で本戦出場を逃しています。
2014年に優勝したドイツも、優勝後の2大会連続でグループステージ敗退、参加国が増えた今大会はベスト32止まりと成績の波が目立ちます。
近年のW杯で高い実績を誇っているフランスやアルゼンチンも、グループステージ敗退や地区予選敗退などといった成績の振るわない時期がありました。
最も安定して好成績を残しているのはサッカー王国と称されるブラジルですが、2006年以降は自国開催だった4位が最高で、その際も準決勝でドイツに7対1で負けるなど、近年は思ったほどの好成績を残せていません。
つまり、現在のW杯で安定して好成績を残すような国はなく、実力が分散している傾向は間違いなくあると思われます。
結局のところ、W杯で好成績を残せるかどうかは、タイミングよく代表チームに良い選手が集まるかどうか次第なのかもしれません。
今回のW杯でノルウェーが28年ぶりに本大会に出場していますが、それはアーリング・ハーランドという世界最高峰のストライカーが代表チームにいるからです。
スウェーデン、ベルギーなどといった俗に言うヨーロッパのサッカー中堅国も、良い選手が集まった時期は好成績を残しますが、その選手がいなくなると一気に弱くなる傾向が強く、南米のウルグアイ、コロンビアなども同様の傾向があります。
代表チームの強化として、良い選手が常に生まれる環境を作ることは大切ですが、世界トップレベルの選手が自国から誕生するかどうかは運次第と言えます。
監督選びや作戦の遂行力などで代表チームの実力向上を図っても、結局は良い選手が揃うかどうかという運要素の比重が高いのが現実なのです。
その点を踏まえて考えると、今回の日本代表は、優勝を目指すには1歩2歩足りていなかったと言わざるを得ません。
主力が怪我で欠いたという問題もありますが、それがなくても日本代表選手と世界のトップレベルの選手にはレベルの差がありました。
例えば、上田綺世選手がオランダのエールディヴィジ(オランダ国内の最高峰プロサッカーリーグ)で得点王を獲得し、待望の決定力のあるFWが日本に誕生したと思った人も多いでしょうが、近年のエールディヴィジは国際的な評価を下げており、オランダ代表にすらエールディヴィジの在籍者はほとんどいないのが実情です。
日本が本気でW杯優勝を目指すのなら、もう1レベル高いFWが必要なのでしょう。
その他、期待が非常に高かった三笘薫選手や久保建英選手も、近年は伸び悩みが指摘されています。
当然、このことを日本代表のチームスタッフは理解しており、その分をチームの質で補おうとしたのでしょうが、覆ることはありませんでした。
これから先、日本が本気でW杯で優勝を目指すのなら、バロンドールクラスの選手が現れるか、国際プロサッカー選手会やヨーロピアン・スポーツ・メディアなどが選出する年間ベスト11に選ばれるような選手が同時期に複数人現れるのを待つしかないのかもしれません。
しかし、アジア人として国際プロサッカー選手会のベスト11に選ばれた人は0人、ヨーロピアン・スポーツ・メディアのベスト11に選ばれたのは2人(香川真司、キム・ミンジェ)のみですから、実現する難易度は相当高く、すぐにどうこうなる問題ではないようです。
日本サッカー協会としては、今まで通り日本人のヨーロッパリーグの移籍推進を促しながら、W杯優勝という目標は、日本に世界最高レベルの選手が現れるのを待つことが現実的なように感じます。
以上、日本から世界的なサッカー選手の誕生を願うばかりです。


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